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  • 第47回
  • 山田曲物株式会社 (愛知県名古屋市)

コロナ禍でも頑張る、
創業96年のスゴい会社!
	佐井さん
新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、自宅で過ごす時間が増えた方も多いのではないでしょうか。そんな「おうち時間」の増加に伴い、私も自炊することが圧倒的に多くなりました。しかし、それが毎日続くとなると、ちょっとシンドイ時も…笑。そんな時、嬉しいのがお持ち帰りできるお弁当やお料理。我が家もよく助けられております。そんなテイクアウトに欠かせない「弁当容器・曲げわっぱ」をつくっているのが、今回の取材先である「山田曲物株式会社さん」です。さっそく、その歴史から伺っていきましょう♪

歴史を感じる工房の中、見せてもらいました!

名古屋駅より歩いて7分の場所にある本社兼工房で、代表取締役社長の山田邦博さんに話を伺いました。山田曲物は大正13年に名古屋市西区にて創業。当初は、提灯の口輪(提灯の上と下に付く丸い輪の部分)を加工をする会社としてスタートすると、その技術を応用した曲げわっぱを製造。しかし、昭和20年に戦火にて工場その他を消失。終戦後、現在会社のある中村区亀島にて事業を再興しますが、機械がない時代なのでとにかく人海戦術。昭和30年頃には、集団就職で名古屋にやって来た若い人たちを住み込みで雇っていたそう。昭和50年になり、山田さんの祖父である忍さんが機械を開発!自ら描いた設計図をメーカーに渡して、特注の機械をつくってもらったんですって。ちなみに、山田曲物にある機械の4分の3が山田曲物のオリジナルです。現在では、さらに機械化と自動化を進めることで、均質な製品を量産できる体制を確立しているそうです。そんな順風満帆に見える山田曲物ですが、平成20年頃には曲物が大量生産できる機械が開発され、他メーカーが多く参入。大量に生産することで価格も下がり、よりたくさんの仕事を受けなければ会社が立ち行かなくなる事態に。そこで、このままではダメだと原点回帰を決断。大手自動車メーカーとの取引を中止し、プラスチック部門を閉鎖。誰でもつくれるものではなく、木を熟知している曲物職人だからこそできるもの、人がやれない・やらないものに挑戦しました。これまでと同じく機械に頼る部分はあるものの、なんと一つずつ手で仕上げているとのこと!そんな工房にお邪魔させていただき感激でした。
  • ヒノキで手づくりされたマウスシールドも社長のアイデア。木に興味を持ってもらうキッカケづくりにしているそうです。

  • 同業者の方でも希望すれば工房見学が可能とのこと。同業者で助け合い、この業界を盛り上げていきたいそうです。あったかいなぁ〜。

  • 工房の中には、なんと昭和37年から使用している機械が現役で活躍していました!社長自ら大切にメンテナンスをしているそうです。

  • 真剣な眼差しと手捌きに脱帽!一つ一つ手ではめています。1時間に1人500個つくれるとのこと!

発想豊かな数々のアイデア商品に注目!

原点回帰した山田曲物が次に注目したのは、木のチップを固めてつくったという「フレッシュパルプ」という紙。しかも国産の赤松・ヒノキを使うので安心安全。ただプラスチックに比べ値が張るので、売れるかどうか不安だったとのこと。ところがそんな心配をよそに、コロナ禍の少し前から品質の良いものを求めるお客さまからの問い合わせが増加。今年5月はコロナ禍でも売り上げが40%UP!爆発的な伸びを達成したそうです。その人気商品の一つが、3年前に発売開始した「蒸せる曲げわっぱ」。高温な蒸気に耐えられるようにするため、接着は全てミシンを使って糸で留めているとのこと。10年かけて中古のミシンを改良し、必要な機械を準備。さらに職人が木を見て割れるか割れないかを判断し、企業秘密の一手間を加えることでこの製品を完成させるそうです。
「電子レンジ対応曲げわっぱ」もヒット商品のひとつ。電子レンジで温められる曲げわっぱができれば必ず喜ばれるだろうと考え、今から20年も前に完成させたそう。その利便性が浸透するまでに時間はかかりましたが、今ではそれが当然の仕様に。開発にあたり耐熱・耐水性のあるボンドを探したところ、ボンド屋さんに「そんなものはない」と言われ、一からボンドの研究を開始。最終的にはオリジナルの特殊ボンドを完成させました。ちなみにこの曲げわっぱは、160度のオーブンで40分焼いても大丈夫だそう。本当かなぁ・・・と心配に思っていたら、実際にこちらの曲げわっぱに入れて焼き上げたチーズケーキを見せていただけました。本当に焼けてる〜!この魔法のような曲げわっぱは、月に約1,000個程売れる商品だったのですが、5月の1か月間だけで約3万個も売れたそう。今後は11月頃に桜をイメージした五角形の曲げわっぱを、来年には栗をイメージした三角形の曲げわっぱの発売を計画中。季節感あふれる商品がどのように使われるのか、今から楽しみですね!
  • 底面に穴が開けてあり、焼売、中華まん、炊き込みご飯などを入れた状態で蒸すことができます♪想像しただけで美味しそう~♪

  • さまざまな種類の針を試したり、縫うピッチや角度を研究したりと、数々のトライアンドエラーを繰り返し、ミシンで縫えるようになったそうです。

  • 国産の赤松(東北・北関東産)を使用した曲げわっぱ♪電子レンジで温めると、ほのかに赤松の香りが立ち上がるそう。お腹が空いてきちゃいます〜!

  • 9月14日に発売された「重箱」という名前の新商品。曲物は直線をつくり出すのが難しいそう。直線に見える部分には、実はほんの少し1mmだけカーブがつけられています。

佐井祐里奈の体験後記

佐井祐里奈の体験後記アイコン
時代とともに変化するニーズをいち早く察知し、それらに対応する商品開発に挑むことで、ユニークな食品容器メーカーとして新たな進化を続けている山田曲物さん。今回のインタビューで特に印象的だったのは、「機械は育てるもの」という社長の言葉です。機械の音ひとつから、不調に気づいて修理をしたり、何度も改良を重ねながら使える機械に自分で育てることが大切とのこと。機械が好きで、何よりも曲物が好き、そして木のことを熟知している山田曲物さん。コロナ禍でさまざまな業界が苦境に立たされていますが、山田曲物さんの熟練した技術と、その発想力で、この世の中の不安な空気を吹き飛ばしてくださいね!
佐井祐里奈の体験後記

社長自ら曲げわっぱの伝統的な工法「ステッチャー留め」の作業を見せてくださいました♪カッコ良かった〜!

COMPANY DATA

山田曲物株式会社
http://pr.yamadamagemono.co.jp/

1924年に名古屋市西区に創業。提灯の口輪の加工を応用した曲げわっぱを製造。曲物製造のパイオニアとして、贈答用土産物および弁当容器などの製造を一貫して行う国内でもユニークな食品容器メーカー。時代とともに変化するニーズに対応するため、機械化と自動化を進め均質な製品の量産体制を確立するとともに、積み重ねた熟練の技術で、新たな素材を生かした挑戦を続けています。

  • 佐井祐里奈プロフィール
  • 佐井祐里奈

    ツイッター:@yunna_s31 愛知県日進市出身。大学卒業後、宮崎放送(MRT)のアナウンサーとして活躍。2013年から拠点を名古屋に移し、テレビのリポーター、ラジオのパーソナリティ、イベントの司会など、活躍の場を広げる。趣味はアイドル研究。

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