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河合塾

新しい学習指導要領で教育は
どのように変わるのか。
長年、子どもたちの学びに携わっている
河合塾の講師陣から、
小学生の「学びの今」について、
教科ごとに現場の声をお伝えします。

第4回:
新しい学習指導要領のポイントを
わかりやすく解説!
〜国語編〜

河合塾 国語科講師

岩田 亜希子 先生

河合塾では長年高校受験ジュニアコースの小学国語講座を担当。受験指導だけでなく、読書イベントなどを通じて、さまざまな文章の魅力を小学生に伝えている。
2020年度から小学校の学習指導要領の改訂が全面実施されるにあたり、
河合塾 国語科 岩田先生が解説します。

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国語を勉強するのは何のため?

 人は、自分ひとりで生きていくことができません。多くの人々と関わりあい、助け合いながら生きています。たとえば、今着ている服ひとつとっても、材料や機械をつくる・デザインする・縫製する・輸送する・販売する……といくつもの段階を経て自分のもとへやってきたものであり、その過程で数えきれないほど多くの人々が関わっています。
 直接顔を合わせたり言葉を交わしたりすることがなくても、私たちは多くの人と関わって生きています。そうして他者とともに生きていくためには、「コミュニケーション」

互いの思っていること・考えていることを上手に伝え合うことが欠かせません。
 話す、聞く、読む、書く。
 国語で学ぶことは、コミュニケーションのための方法です。
 他者によって書かれたものや相手の話すことを正確に理解する力がなければ、相手の望みに応えることはできません。自分の思い・考えを上手に表現することができなければ、相手にそれを理解してもらうことができません。
 つまり、国語という科目は、子どもたちが、自分と関わりあう人々と上手に付き合っていくためのものなのです。

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デジタル時代の国語学習

 小学校学習指導要領における三つの「国語科の目標」のひとつにも、「コミュニケーション」に関わるものが挙げられています。
日常生活における人との関わりの中で伝え合う力を高め、思考力や想像力を養う。
 注目してほしいポイントは、後半の「思考力や想像力を養う」です。

 多くの言葉を知り、使いこなすことは大切です。
 今回の学習指導要領改訂のポイントの一つに「語彙指導の改善・充実」が挙げられます。
 語彙の量や質の差が学力差の背景になっているという指摘もあり、語彙の量を増やすことを目的に、1・2年生で「身近なことを表す語句」、3・4年生で「様子や行動、気持ちや性格を表す語句」、5・6年生で「思考に関わる語句」と、系統立てた語彙指導を目指すことになりました。
 しかし、どれだけ「言葉」というコミュニケーションの道具を多く持っていたとしても、相手の伝えたいことを理解するための思考力や想像力、そして相手に伝える「内容」そのものがなければコミュニケーションは成立しないのです。

 今の小学生は、生まれたときからインターネットやスマートフォンが身近にありました。いわゆる「デジタルネイティブ」です。
 ふだん子どもたちと「昨日何していた?」と話していても、「YouTube見てた」という返答が非常に多く出てきますし、予習として言葉の意味調べをしてくるときに「紙の辞書に載っていなかったから、インターネットで調べた」という発言もしばしば耳にします。
 情報にアクセスすることが容易になった分、わからないことをそのままにせずに調べるという行動に踏み出せる子が多くなってきたのは、よい傾向だと思います。

 時代の変化に合わせ、学習指導要領も「知識偏重」から「『考えること』の重視」へと方針が変化してきました。
 「自分の考えの形成」を目的とした内容はこれまでの教科書にもありましたが、今回の改訂では「自分の考えの形成」が学習の目的として明確化されています。
 情報・知識は手に入れられる。問題はその次だ、というわけです。
 情報を整理する、情報同士の関係をとらえる、情報をもとにして自分の意見・考えを持つ、それを他者に伝える……そういった「考える」作業が求められるのです。