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河合塾

新しい学習指導要領で教育は
どのように変わるのか。
長年、子どもたちの学びに携わっている
河合塾の講師陣から、
小学生の「学びの今」について、
教科ごとに現場の声をお伝えします。

第3回:
新しい学習指導要領のポイントを
わかりやすく解説!
〜理科編〜

河合塾 理科講師

熊﨑 さと子 先生

簡単な実験を通して、体験から科学的な思考を身につけるための授業を実践。小学生対象のクラスではアクティブラーニングの手法を取り入れた授業を行う。中日新聞社発行の中日こどもウィークリー“理科ワンダーランド”の執筆も務める。
2020年度から小学校の学習指導要領の改訂が全面実施されるにあたり、
河合塾 理科 熊﨑先生が解説します。

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理科は好きですか?

 このように問いかけると、多くの小学生からは「大好き!」とか「実験が楽しい!」と返ってきます。しかし、中学生になると即座に「好き」と返ってくることは少なく、多くが「ん~~」とひと呼吸あってから「実験の意味がわからない」とか「公式が使えない」と言います。
 しかし、小学・中学の理科は、動植物のこと、ヒトの体のこと、太陽や月、物質の成り立ち、電気、力と運動…等々、私たちの身の回りにある自然の現象について学ぶため、生活の中の謎が解き明かされて、本当はとても興味深く面白い教科なのです。

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学習指導要領としての理科

 学習指導要領の中で、理科を学ぶ目標は次のように示されています。
[小学理科・目標]
自然に親しみ、見通しをもって観察、実験などを行い、問題解決の能力と自然を愛する心情を育てるとともに、自然の事物・現象についての実感を伴った理解を図り、科学的な見方や考え方を養う。
[中学理科・目標]
自然の事物・現象に進んでかかわり、目的意識をもって観察、実験などを行い、科学的に探究する能力の基礎と態度を育てるとともに自然の事物・現象についての理解を深め、科学的な見方や考え方を養う。
 これを簡単にまとめると、小学では「自然に目を向けて親しみましょう。」ときっかけを促していますが、中学では「自然の事象に進んでかかわりましょう。」と能動的にかかわることとしています。 能動的であることは、すなわち「主体的」「対話的」「深い」学びを柱とするアクティブラーニングのねらいでもあります。アクティブラーニングとは、実は独立した教科ではなく各教科の特徴を生かし、より良く学べるように組み込まれたひとつの手法なのです。  

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アクティブラーニングとしての理科

~経験がイメージを生む~
 中学に入っていきなり能動的になることを求められても即応できませんが、実はその布石は小学のときから打たれています。それが小学学習指導要領の中にある「見通しをもって科学的に考える」です。これが注目したいポイントです。
 理科を学ぶにあたっては、「経験」を生かす意識が必要になります。例えば、『急な坂でボールをころがせば、いつもの緩やかな坂より勢いよくころがる。』という現象は、物理分野の運動とエネルギーの分野につながります。
 このような生活の中の経験から他の状況をイメージしやすくなり、次の行動や発想へとつながるのです。自然を対象とする理科では、このイメージを生み出せる材料があちこちに散らばっています。経験を受け流すのではなく、そこに目を向けるようにすると「主体的」な学びの助けとなります。
 このイメージの生み出し方や知識・情報のとらえ方は、各自それぞれに異なります。授業での観察や実験のとき、またある事象について考えるときに、友達や先生と話し合い意見を交換すれば、自身の視野を広げるヒントをたくさんもらえます。「対話的」である意味はここにあります。
 この先、高校生までは与えられる学習で成績をおさめられても、大学という場ではそれだけでは通用しません。自ら課題を見つけて考え抜いていく「深い」学びの力が必要とされます。小学生のときから、このような理解のし方やもののとらえ方をしていけば、10年余り先に大人になって社会へ出てからも通用する「生きる力」につながっていきます。