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愛知県美浜町の自然ですくすく育ったニンジンは
甘みが強く、栄養成分がとっても豊富!

色とりどりの野菜に、みずみずしいフルーツ……毎日の食卓をゆたかに彩る新鮮な農産物。
「ほっとマルシェ」では、伝統野菜や新顔野菜、全国にほこる野菜など、意外と知られていないご当地の農産物を紹介します。地元で生産されているものを知るだけで、毎日の食卓がさらに楽しくなるかも!?
第12回は、2012年に新規就農した若手農家、出口崇仁さんがつくるニンジンです。農薬や除草剤、化学肥料不使用の畑で育ったニンジンは、見た目は不ぞろいでも、味は絶品。さらにその栄養価の高さがコンテストで認められるなど、いま注目を集めています。26歳で新規就農した当時の想い、ニンジンへのこだわり、将来の夢などをたっぷり聞いてきました!

ニンジンの豆知識

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●起源
原産地は、現在のアフガニスタンといわれています。12~13世紀にヨーロッパに伝わったのが、西洋ニンジンと呼ばれる品種。当時は紫色で色移りがしたり煮崩れしたりと扱いにくかったため、オランダでオレンジ色に品種改良されています。また、13世紀ごろ中国に伝わったのが東洋ニンジンです。京野菜の金時にんじんに代表されるような、濃い赤色と細長い形が特徴。日本へは、16世紀の江戸時代初期に東洋ニンジンが伝来。その後、明治時代に入ってから西洋ニンジンが伝来します。以降、国内で流通している多くが西洋ニンジンです。
※ニンジンの起源については諸説あります
●栄養
ニンジンは鮮やかなオレンジ色をしていますが、これはカロテンという色素成分を多く含んでいるから。ちなみにカロテンの語源は、ニンジンの英名「キャロット」です。カロテンは体内でビタミンAに変換され、重要な役割を果たします。さらにカロテンを多く含む皮を残したまま加熱調理していただくと、体内での吸収率がアップ。ニンジンの栄養が効率的に摂取できます。
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農薬、化学肥料不使用でニンジンを栽培する
出口さん一家からのメッセージ

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就農する前は、栄養士として企業の社員食堂で働いていました。栄養士を目指すきっかけとなったのは、中学時代の経験。その頃の私は、馬と一体となって駆け抜ける騎手に憧れ、競馬学校への入校を夢見ていました。そして入校条件である体重制限をクリアするため、食べずに運動するという無理なダイエットを敢行。結果、健康を害して競馬学校も断念せざるを得なかった。その後、経験を生かして栄養士となり、人々の健康を支える仕事に就けたことに誇りを持っていたのですが……。コストばかりを重視する当時の職場に嫌気がさし、退職。もっと人々の健康に役立つ仕事はないか思案していた時、田原市で有機栽培を手がける農家さんと出会ったんです。農業の経験は全くありませんでしたが、迷わず研修に参加。そこで収穫したてのニンジンを食べた時、大きな衝撃を受けました。「私がこれまで食べてきた野菜は何だったんだ!?」と感じるほど、美味しかったんです。こんなに美味しいなら野菜嫌いが減らせると確信し、農業への挑戦を決心しました。
2012年に就農した当時は、肥料を使わず、畑にもみ殻や粉砕した竹をそのまま与えるなど、周囲からは非常識と言われる独自の方法で野菜を栽培していました。絶対に美味しい野菜ができるという感覚的な自信はあるものの、思い通りの結果が出ない日々。それでも、農薬や化学肥料に頼ることなく、直感を信じ続けた結果、3年目くらいに野菜の味がグンとよくなったんです。籾殻や竹を与えた畑の微生物たちが活性化したのも、このタイミングだったと感じています。いまでは、この微生物たちも私の大切な従業員なんですよ(笑)!
2016年には、一般社団法人日本有機農業普及協会主催の「オーガニックフェスタ2016」に、ニンジンを出品。すると「栄養価コンテスト人参部門」で、糖度と抗酸化成分、ビタミンCが出品作物の平均値の約2倍。過剰摂取すると体に悪いとされる硝酸イオンは3分の1以下という値を記録し、なんと最優秀賞を受賞しました!
現在も地域の米農家さんからいただくもみ殻や、放置竹林を伐採した竹、畑の周りの雑草などを土づくりに生かしています。特に最近は循環を意識して、地域でムダなものとされているものに、意味や役割を見出し積極的に活用。これからも農薬や化学肥料を使わない環境にやさしい農業で、耕作放棄地や荒れた土地を農地に生まれ変わらせ、ゆくゆくは美浜町を、オーガニックの町として活性化させるのが目標です!
  • 大切な従業員である微生物たちに声をかけ、健康的な土づくりに注力する出口さん。

  • ふかふかの土からは、鮮やかなオレンジ色のニンジンが顔をのぞかせます。

  • 試行錯誤しながら完成させた土から、栄養価の高い美味しいニンジンが生まれます。

  • 畑の周辺で刈った雑草にも存在意義はある。そのまま土に混ぜたり発酵させたりして、循環させます。

  • 収穫したニンジンはどれも不ぞろいですが、味はお墨付きです!

  • 「本物の野菜を追求し、さらに地域活性にも貢献したい」と夢を語る出口さん。

DATA

出口崇仁(でぐちたかひと)農園

【住所】
愛知県知多郡美浜町美浜緑苑1−1−8


約3ヘクタールの畑で黒田五寸など約5種類のニンジンを栽培するほか、旬の野菜を農薬や化学肥料に頼らずに栽培しています。自慢のニンジンはサラダなどで香りと食感を満喫するほか、出口家では八宝菜や野菜炒め、鍋にすることが多いそう。「火を入れることで、イモのようなほっこりとした風味が楽しめるんですよ」と教えてくれました。
毎週土曜日にオアシス21で開催する「オーガニックファーマーズ朝市村」( vol.01を参照)に出店することもあるので、ぜひチェックしてください。