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  • vol.11
  • 三重なばな

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    伝統野菜

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花芽ではなく、わき芽のみをいただく。
「三重なばな」は、みずみずしい葉と茎が絶品です!

色とりどりの野菜に、みずみずしいフルーツ……毎日の食卓をゆたかに彩る新鮮な農産物。
「ほっとマルシェ」では、伝統野菜や新顔野菜、全国にほこる野菜など、意外と知られていないご当地の農産物を紹介します。地元で生産されているものを知るだけで、毎日の食卓がさらに楽しくなるかも!?
第11回は、三重県桑名市(旧長島町)発祥の「三重なばな」をご紹介。「なばな」とは、アブラナのわき芽を摘み取ったもので、花芽を食べる「菜の花」とは似ているようで、栽培方法や収穫方法が異なります。11月から翌年3月までの寒い時期にかけて旬を迎える「三重なばな」は、みずみずしくやわらかな葉と茎が特徴。食べるとほのかな苦味が広がりますが、クセがないため、和えものから汁もの、炒めもの、お菓子まで、さまざまなレシピに活躍します。鮮やかな緑色の「三重なばな」で、ひと足早い春の味覚を味わってみてはいかが?

三重なばなとは

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江戸時代から菜種油を採取するために栽培されてきた菜種(アブラナ)。当時は「江戸の灯りは伊勢の菜種でもつ」と言われるほど、三重県は菜種(アブラナ)の一大産地でした。春になれば畑は一面黄色の花で埋め尽くされ、咲き終わった後の種を収穫し油を搾ります。昭和30年代には、種をたくさん収穫するためにわき芽を摘み取るように。そのわき芽を農家の人々が食したところ、とても美味しかったため青果市場への出荷がスタート。その頃、照明の電気化や安い輸入油が出回り始めたことから、全国では菜種(アブラナ)の栽培面積が減少傾向に。しかし、わき芽の美味しさが口コミで広がった三重県では、食用としての需要が増加します。菜種(アブラナ)の花芽を食べる習慣は全国にありますが、わき芽を食べるのは三重県桑名市(旧長島町)が始まりとされています。
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三重なばな発祥の地、長島地区の農家
鈴木みず子さんからのメッセージ

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現在、長島地区では約100名、およそ25ヘクタールで三重なばなを栽培しています。私のところでは、約1.3ヘクタールの畑を利用して、水田の裏作として三重なばなに取り組んでいます。
私が嫁いだ時には、栽培の中心はお米とトマトが中心で、三重なばなは自家消費用として栽培していました。こちらではじめて三重なばなを食べた時は、その苦さに驚いたものです。いまは品種改良も進み、フレッシュなほろ苦さがとても美味しいと評判ですよ。
三重なばなの栽培を始めたのは、約40年前。稲作が終わった後、冬場の仕事をつくるためでした。三重なばなは9月に定植して、11月ごろから花を咲かせる芯を摘み取り始めます。11月ごろスーパーに並んでいる三重なばなは、芯にあたります。12月ごろからは、芯の周りから出てくるわき芽を摘み取って出荷。寒さが増す1月と2月には甘味がぐんと増し、カットした茎の断面から糖を含んだ水分がにじみ出るほど。ぜひ、11月の芯から、1月、2月の甘みが増したわき芽まで、食べ比べてみてくださいね。
収穫が始まると、毎朝8時に畑に出かけ、16時ごろまで収穫作業。その後、収穫した三重なばなを持ち帰り、18時ごろまで袋詰めの作業に追われます。ほかにも、わき芽にしっかり日光を届けるため外葉を取り除くなど、美味しい三重なばなを収穫するため頑張っています。寒風吹きすさぶ中、すべて手作業のため苦労も多いですが、ビタミンやカルシウム、鉄分を多く含む健康野菜である三重なばなで、寒い冬を乗り越えてください。
  • 芯の周りから出てくるわき芽を1本1本、丁寧にカットする鈴木さん。

  • 花を咲かせる芯を摘み取り、その周りから出てくるわき芽を収穫します。

  • わき芽は見るからにみずみずしくてやわらか。一つひとつ、手作業でカットします。

  • 通称、なばなナイフで新芽をカット。なばなナイフのサイズは、出荷規格の目安にもなっています。

  • その日に収穫した三重なばなを計量し、小袋に詰めていきます。

  • 長島地区では、正月のお雑煮に添えられたり、餅と大根おろしと一緒に味わったりします。

DATA

三重なばな

発祥の地である長島地区は海抜が低いため、高畝にして作物の水没を防いでいます。また、日当たりのいい南北畝の西側に苗を寄せて植えることで、西に背を向けて収穫。これは、伊吹おろしの厳しく冷たい風から身を守るための昔からの知恵です。
旬を迎えると東海エリアのスーパーだけでなく、北海道や東北、北陸にも出荷。雪国の貴重な青菜として、重宝されています。
さまざまな料理に適している三重なばなですが、鈴木さんのおすすめはグラタンです。鮮やかな緑色が映えるグラタンは、三重なばなとホワイトソース、チーズの相性が抜群です。
~ 茹で方 ~
塩をひとつまみ入れて沸騰させたお湯に、まずは茎部分を数十秒間沈めます。その後、葉まですべてをお湯に入れて、サッと茹であげてください。


▼▼▼取材協力▼▼▼ ●JAみえきた
http://www.ja-miekita.or.jp/