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  • vol.03
  • ファーストトマト

  • Category
    伝統野菜

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強い甘みの中に爽やかな酸味が広がる。
昔ながらのトマトを作り続ける
農家さんを直撃!

色とりどりの野菜に、みずみずしいフルーツ……毎日の食卓をゆたかに彩る新鮮な農産物。
「ほっとマルシェ」では、伝統野菜や新顔野菜、全国にほこる野菜など、意外と知られていないご当地の農産物を紹介します。地元で生産されているものを知るだけで、毎日の買い物がさらに楽しくなるかも!?
第3回は、あいちの伝統野菜に認定されている「ファーストトマト」をご紹介。愛知県では昭和初期から特産品として栽培されていましたが、栽培が難しく輸送に不向きのため、生産量は減少の傾向に。それでも昔ながらの土耕栽培にこだわりながら、先代から受け継いだ「ファーストトマト」を作り続ける「近藤まさつぐ農園」にお邪魔しました!

あいちの伝統野菜とは

温暖な気候と豊かな水や土に恵まれた愛知県では、古くから野菜づくりが盛んに行われてきました。当時は優れた品種を生み出す種苗業者や農家も多く、野菜づくりの発展に大きく貢献。実はこれらが、普段みなさんが目にする野菜のルーツだったりするのです。現在では、そんな昔ながらの野菜を見かける機会が少なくなってしまいました。愛知県では、歴史的・文化的遺産として見直すと同時に、再び身近な野菜に感じてもらうことを目的に、4つの定義を満たす35品を「あいち伝統野菜」として認定しています。
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食べ応えのある果肉をひと噛みすれば
みずみずしい果汁があふれ出します!

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そのまま食べたりジュースにしたり、加熱してソースにしたり…。トマトは、食卓に欠かせない野菜の一つです。その歴史は古く、日本には江戸前期に観賞用として伝えられたそう。食用とされたのは明治以降。本格的に市場に出回り始めたのは、昭和に入ってからになります。
あいちの伝統野菜に認定されている「ファーストトマト」は、昭和10年代に愛知県で誕生しました。しっかりとした果肉にあふれるほどの果汁、バランスのとれた酸味と甘み、そしてこのトマト独特のさわやかな香りが人気となり、国内のトマトの主要品種として広く普及。その後昭和後期には、病気に強く傷みにくい桃太郎トマトの登場によって生産量が激減します。しかし近年では、「昔ながらのトマトの味がする」とその味が見直され、デパートやスーパーなどで見かける機会も少しずつ増えてきています。

ファーストトマトの特徴

  • おしりがツンと尖った左のトマトがファーストトマトです。右の一般的なトマトと比べると一目瞭然!


    ※花が咲く時期によって、尖り具合は異なります。

  • ファーストトマトは子室数が多いのも特徴。そのため、種子の周りのゼリー状の部分が少なく、果肉に旨味が凝縮しています。

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美味しいトマトの見分け方

  • おしりからヘタにかけて、美しいスターライン(放射線状のシマ模様)が入っているものがおすすめです!

  • こちらはグリーンバック。ヘタの周りの緑色は、実までもが光合成をしている証で、甘みがとても強くなる傾向があります。

ファーストトマトまとめ

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「ファーストトマト」を栽培する
近藤まさつぐ農園の近藤一也さんからのメッセージ

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私の父である近藤征嗣(まさつぐ)がファーストトマトを作り始めたのが、昭和52年のこと。当時は農事組合法人 丸東温室組合として、5軒の農家で共同出荷をしていました。組合解散後も、父はファーストトマトを絶やしてはいけないと栽培を継続。現在も近藤まさつぐ農園では、27アールの広さになる2棟の温室で、ファーストトマトを大切に栽培しています。

農家としての未来に不安はありましたが、小学生のころ、学校からまっすぐ温室に帰るとおやつにもいで食べたトマトの味が忘れられず…。父と同じ想いで就農しました。
栽培法は父から受け継いだ土耕にこだわっています。最近では水耕栽培やハイブリッド栽培などが多いと聞きますが、原始的な栽培法である土耕でどれだけ素晴らしいトマトをつくれるかが職人の腕だと父から教わりました。そのため土作りにはこだわっていて、大量のワラを土の中に混ぜています。それによって土中の微生物の活動が活発になり、さらにワラが腐ることで肥料の役割も果たしてくれるんです。通路にもワラを敷くことで、空気中の水分の調節まですることができるんですよ。
現在は伝統を守りつつも、長い期間収穫するため苗を植える時期をずらしたり、多く収穫するため木の高さを出したり、土を覆うカバーを白くして光の反射を利用したり……小さなアイデアを積み重ねています。15年かけてようやく、私が思い描く栽培スタイルが見えてきたんじゃないかな…。亡くなった父が見たら怒られそうなこともありますが、大切なファーストトマトに誰にも負けない愛情を注いでいると自負しています。

今は温室内に併設された直売所で、新鮮なトマトを販売しています。安全性を確認していただくためには、栽培する現場を見ていただくのが一番ですからね。
近藤まさつぐ農園では木や土壌に消毒薬を極力使用しないように心掛けているため、温室内には土と木のやさしいにおいが漂っているんです。木からもぎたてのトマトにかぶりつく我が子を見てくだされば、安心していただけるはずですよ(笑)。
トマトがなる様子を見学する家族や、買ったその場でトマトにかぶりつく方など、さまざまなお客さまがいらっしゃいます。ぜひ、一度農園に遊びに来てください。お待ちしております。
  • 余分な花の摘み取りや、剪定・整枝作業に精を出す近藤さん。

  • 温室の中は、土と木のやさしいにおい、そしてトマトのさわやかな香りに包まれています。

  • 実ったばかりのまだ青いファーストトマト。お尻が尖っているのがよくわかります。

  • 近藤まさつぐ農園では、樹上完熟にもこだわっています。鮮やかな赤色もファーストトマトの特徴です。

  • 土にたっぷりと混ぜられたワラ。毎年7月にトラクターで土を反転させた後、ワラを加えます。

  • 通路にもたっぷりの敷きワラが。フカフカの歩き心地も好評です。

  • 近藤まさつぐ農園のファーストトマト100%でつくったトマトジュースは、直売所のみでの販売です。

  • 直売所には近藤さん手作りの顔出しパネルが。お客さまの撮影スポットとして、人気です。

DATA

近藤まさつぐ農園

【住所】
愛知県愛知郡東郷町春木太子62
【営業時間】
9:00〜12:00、13:00〜17:00
【問合せ先】
0561-39-1074(※農作業中は出られません)
※収穫時期は、天候などにより異なるのでご注意ください。
※購入後は冷蔵庫に入れず、涼しい場所での保管がおすすめです。
ファーストトマトの収穫は、12月から6月にかけて。直売所のほか、農産物直売所市・ござらっせ あぐりん村(長久手市)、プライムツリー赤池(日進市)で購入することができます。
近藤さんおすすめの食べ方は、そのまま丸かじり。「ひと口食べると、爽やかな酸味が口いっぱいに広がり、後から強い甘みが追いかけてきますよ」(近藤さん)。果肉部の幅が薄いので、サクッと食べられるのも特徴です。そして、トマトにはうま味成分のグルタミン酸が豊富なので、さっと加熱しても絶品。近藤家では、豆腐の代わりにファーストトマトを使ったトマト麻婆が定番だそうです。