前回は円頓寺商店街を探索したので、今回も古い商店街へ。やはり神様仏様の参道界隈が人や店を呼び寄せる傾向があるようだ。昔は遊郭などが設営されて色街花街としても賑わったようだ。大須観音の界隈は、下北沢と戸越銀座と秋葉原がミックスされたような活況で、まさにカオス。電気店や飲食店、劇場、演芸場、オタク文化の発信地、様々な要素が混じり合って、老若男女問わず似合う街である。
まずは大須観音にお参りをしてみんとてするなり。随分と立派な造りで、日本三大観音の一つとも言われているらしい。色々な場所で「鳩に餌をやらないでください」と咎められるこのご時世に、鳩に公然と餌をやることができるのだ。いや、別に普段から「鳩に餌をやりたいなあ」という欲求があるわけでもなんでもないのだが、餌をまいてそこにおびただしい鳩が一斉に群がる様は、何か世の中を動かしているような気分になる。
この界隈には色々な路地、小路があるけれど、ここはひときわ妖しい雰囲気を持っている。雑貨店や飲み屋など、佇まいが個性的すぎて近寄りにくいところもあるが、すこぶるオープンな感じでつまみの仕込みをしているお兄ちゃんが見えたので声をかけたら快く入店を促してくれたので、まだまだ時間も早いというのに飲む羽目になってしまったではないか。
東仁王門通から続く、文珠小路。編集長の後ろに佇む「完全閉店」「奇跡の…ぱわーすとーん」の張り紙も気になるが。
無造作に置かれたブラウン管テレビに「DR」の文字が。これは一体、何を意味しているのか……。ご存知の方は、ご一報を!
この店は、「木花咲耶」という昼飲み歓迎の隠れ家風居酒屋だ。昼飲み歓迎というだけで、夜ももちろん営業しているらしいが、まだオープンして日が浅いらしく、厳選した地酒を月代わりで県別に特集していくという面白い演出を目指しているという。なんとこのお兄ちゃん、21歳で独立して店を開いたという。首元に真新しい、色っぽい引っかき傷があるので聞いたら照れるかなあと思いつつも「猫でも飼っているの?」と聞いたら、「トカゲなんです」……。やはり、ひときわ妖しい路地だけのことはある。