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遼河はるひの美酒リポート 美味しくいただきます

第19回酒蔵巡り(三重錦/中井酒造場)

元プロボクサーが醸す味わい深〜い日本酒!


まだまだ暑い日が続きますが、暦の上ではもう秋ですね。秋と言えばスポーツに芸術に読書……そして私にとっての一番は、なんと言っても食欲の秋(笑)!
今回は秋の味覚と一緒に味わってほしい、味わい深~い日本酒をご紹介します。小さな酒蔵で、元プロボクサーが醸す日本酒「三重錦」は、滋味深い料理との相性もバツグン。今回も張り切ってリポートに行ってきます!
忍者の里として知られる三重県伊賀市に到着です。
今回おじゃまする中井酒造場は、伊賀流忍者で有名な三重県伊賀市にあります。名古屋から車で80分ほどのところにある小さな酒蔵に到着すると、4代目の中井昌平さんが出迎えてくれました。
実はこの中井さん。元プロボクサーという、異色の経歴をお持ちなんです!
元プロボクサーという肩書きに、お会いするまでドキドキでしたが……。そんな心配をよそに、ご本人はとても笑顔のステキなお話好きの方でした!10月中旬から仕込みがスタートする酒蔵をご案内いただきながら、たくさん話を伺いましたよ。もちろん、最後にはお楽しみの試飲タイムも(ウフ!)。
では、まずは蔵の歴史から……。明治30年(1897年)に焼酎蔵として創業した中井酒造場。大正時代に入り、みりんや日本酒の製造も始めます。「三重錦」という名前は、3番目につくり始めた酒類だったため名付けられたもの。あとは、錦(めでたいこと)が3つ重なり、よりおめでたいとの想いと、三重県を代表する酒になるようにとの願いが込められているんですって。
戦時中は休蔵を余儀なくされますが、戦後には日本酒づくりを復活。その頃、高度経済成長と共に訪れた日本酒ブームによって、地方の酒蔵のほとんどが灘や伏見などの大手メーカーの下請けになっていたそうですが、中井酒造場も例外ではなかったそう。「3代目に当たる父からは、下請けは大変な仕事だから継がなくてもいいと言われていました」(中井さん)。
  • 仕込みタンクの前で、いろいろな話を伺いました。

  • 日本酒づくりのカギを握る麹づくりは、この中で行われます。

  • 小売スペースでは、伊賀市上野地区限定の日本酒も販売しています!

  • なんと!中井さんが指導するボクシングジムも併設されているんです!

元プロボクサーが自ら杜氏となって、日本酒づくりに挑戦!
25歳までプロボクサーとして活躍した中井さん。引退後は、実家に戻り日本酒づくりを始めます。「当時は、淡麗辛口や女性ウケする甘口の日本酒が流行っていましたが、それだと食事と一緒に楽しめない」と、自ら地酒の定義を「その土地の料理と一緒に楽しめる日本酒」と定めます。自ら杜氏となり、下請けの日本酒ではなく伊賀市ならではの地酒づくりをスタート。そんな中井さんが醸す日本酒・三重錦は、どっかりとしたうま味とキレを両立。芳醇で力強い味わいなのに、ぜんぜん重たさを感じさせないんです。もちろん、伊賀牛や豆腐田楽など強い味が特徴の、伊賀名物との相性も最高ですよ。
その味わいを支えているのが、中井さん自ら究極の総破精(そうはぜ)づくりと呼ぶ麹づくり。総破精とは、麹菌の菌糸が蒸米の表面だけでなく、内部にも深く食い込んでいる状態のこと。一般的な総破精づくりと比べて、手間も時間もかかりますが、濃厚でしっかりとした味わいながら後口が軽快なお酒に仕上げるのに欠かせないんですって。
最後におすすめの飲み方を教えてもらいました!「開栓してから1~2か月後に飲んでみてください。味がさらに丸くなって、うんと美味しくなりますよ」(中井さん)。日本酒って開栓したら、早く飲まなきゃ……って思っていましたが、三重錦に限っては空気に触れて酸化が進むとともにその美味しさもアップするそう。もちろん、開栓したても味わって、その違いを楽しんでみてくださいね。
  • それぞれ味わいの異なる6本を試飲させていただきました!

  • 「うすにごり」は、少しシュワシュワっと発泡しているのね。

  • 香りも味わいもそれぞれが個性的!私は火入れをしない生酒が好き!

  • 左側の熟成古酒は、色も香りも味わいもすべてが深い!

遼河はるひの体験後記

中井酒造場は、中井さんと従業員の2人で日本酒づくりに励まれている小さな酒蔵です。年間生産量も200石(一升瓶36,000本)と決して多くはないのですが、最近では地酒専門店などで購入することができます。中井さんいわく、「三重錦は基本的に濃い味ですが、それは料理に例えると『出汁』の濃さ。決して、味付けが濃い訳ではないので、くどい酒ではないのです」。料理も深みのあるもの(漬物なら、浅漬けではなくしっかりと乳酸発酵したもの)との相性がいいんですって。
私は帰ったら、中井さんおすすめの飲み方にもさっそく挑戦!開栓してから1~2か月間、飲まずに我慢できるかちょっと心配ですが……(笑)。丸くなった味を確かめるべく、頑張りますよ。皆さん、開栓してからは冷蔵庫で保管してくださいね~。

これがプロボクサー時代の中井さん。凛々しいですね!

SHOP DATA

■中井酒造場
【住所】三重県伊賀市上野西大手町3721
【電話】0595-21-0010

PROFILE

遼河はるひ 遼河はるひ
愛知県名古屋市出身。元宝塚歌劇団・月組男役スター。高校生の時に初めて観た宝塚に魅せられ、1994年、宝塚史上もっとも倍率の高い年に宝塚音楽学校に入学。1996年、宝塚歌劇団入団。数々の舞台を経て、2009年退団。退団後は、女優・タレントとして活動。バラエティ番組にも多数出演し、活躍の幅を広げている。
舞台 『アニー』(2016年)
『エリザベート』(宝塚歌劇団2009年)
映画 『はなちゃんのみそ汁』(2015年)
ドラマ 『癒し屋キリコの約束』(2015年)
CM 『豆腐よーぐるとぱっく 玉の輿(盛田屋)』