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遼河はるひの美酒リポート 美味しくいただきます

第18回カブトビール(半田赤レンガ建物)

明治時代に半田市で誕生した幻のビール!


ようやく梅雨も明け、ジメジメから解放されてホッとしたのもつかの間。今度はジリジリと照りつける暑さに、夏バテ寸前……。そんな夏こそ、美味しくなるのがビールです(ウフ、飲みたいだけかしら。笑)。仕事終わりによく冷えたビールで「ぷはぁ〜」が幸せ、って方も多いのでは。今回は、明治時代に4大ビールメーカーに果敢に挑んだ、半田生まれのビールをご紹介いたします。実はこのビール、幻と呼ばれるビールなんです!
日本建築史上最大規模を誇るレンガ建物に到着です。
今回の取材先、半田赤レンガ建物がある半田市は、古くから日本酒や醤油、酢などの醸造業が盛んな場所です。知多半島道路の半田中央インターチェンジを下りて、東に約10分。赤レンガの建物が、見えてきました!出迎えてくれた副館長の杉野さんに、建物やビールの歴史をいろいろと尋ねてみましたよ。
半田赤レンガ建物は、明治31年(1898年)にカブトビールの製造工場として誕生。設計を担当したのは、明治建築界の巨匠・妻木頼黄氏です。横浜赤レンガ倉庫や日本橋の装飾部も設計した方なんですって(スゴイ!)。中空構造を持つ複壁や多重アーチ床など、現在ではほとんど例を見ない構造が特徴で、国の登録有形文化財に登録されているほか、近代化産業遺産にも認定されている、とっても貴重な建物なんですよ。

ではなぜ、ここで造られたビールが幻と呼ばれているのでしょう??
カブトビールが製造開始した明治時代は、ビールの黎明期でもあり、すでに大手4大ビールメーカーが存在していたそう。大阪のアサヒビール、横浜のキリンビール、東京のヱビスビール、札幌のサッポロビール……。そこに果敢に挑戦したのが、カブトビールなのです。半田赤レンガ建物が建つ9年前、後のカブトビールとなる丸三ビールが約3,000本限定で初出荷。丸三ビールの名付け親は、中埜酢店(現在のミツカン)の4代目・中埜又左衛門さんと、敷島製パンの創業者・盛田善平さんというから、これまたスゴイ!その後、ドイツから醸造技師と機械技師を迎えて、半田赤レンガ建物で本格的にドイツビールの醸造をスタートさせたんですって。
  • 生カブトビール「明治」と「大正」をいただきます!
    色の濃い「明治」は90日間熟成され、ワインのような味わい。

  • ビールにぴったりなジャーマンプレート。
    半田で豚の飼育から販売まで行うソーセージが絶品です。

  • 4種類のソーセージをお供にいただくビールも最高です!

  • 売店では、カブトビール(明治&大正)とビアグラスのセットも販売。

半世紀の年月を経て復活したビール
半田赤レンガ建物で本格的なドイツビールの醸造を開始した2年後には、パリ万国博覧会に出品し、なんと金賞を受賞!当時の東海エリアでは、最大のシェアを誇るまでに成長したんです。
とっても順調だったカブトビールなのですが、日露戦争後の景気後退などの影響もあり、日本第一麦酒株式会社、加富登麦酒株式会社などに社名を変更。昭和8年(1933年)には、大日本麦酒株式会社と合併します。しかし、太平洋戦争が始まった2年後の昭和18年(1943年)に半田工場は閉鎖に追い込まれ、カブトビールの製造が終了してしまったのです。
製造が終了して、半世紀以上が経った平成17年(2005年)。半田赤レンガ建物の保存活動を行う赤煉瓦倶楽部半田のメンバーたちの熱い想いによって、カブトビールが復活(ロマンチック!)。でも3,000本限定だったため、あっという間に売り切れてしまい、幻のビールと呼ばれるようになったのです。
平成27年(2015年)には、耐震補強工事を終え、半田赤レンガ建物の常時公開がスタート。併設のカフェスペースでは、当時のレシピで再現したカブトビールがいつでも飲めるようになったのです!明治時代に大手メーカーに果敢に挑んだ、半田の有志たちに想いを馳せていただくビールの味は格別です!
  • 当時の名古屋駅に設置されていた看板のオブジェです。

  • 明治時代の酒店を再現したスペースも。「ごめんくださ〜い!」

  • 半田空襲の際、戦闘機から受けた機銃掃射の傷跡が今でも残されています。

  • カブトビールや半田赤レンガ建物の歴史をしっかりとお勉強。

遼河はるひの体験後記

宮崎駿監督の作品「風立ちぬ」にも登場して、注目を集めているカブトビール。戦争の影響を受けながらも、本格ドイツビール造りに挑戦した先人たちの情熱に胸が熱くなります。そして半世紀以上経った現在、私たちが当時の味を楽しめるなんて、もう、とってもロマンチック……。
ちなみに、カブトビールの最後の社名になった「大日本麦酒株式会社」は、あのサッポロビールとアサヒビールの前身なんですって。歴史を知った上で、復刻されたカブトビールをいただくと、いっそう味わい深いですね!

館内のレンガ壁にも歴史を感じます。

SHOP DATA

■半田赤レンガ建物
【住所】愛知県半田市榎下町8
【電話】0569-24-7031
【営業時間】
(常設展示室)9:00〜17:00
(カフェ ブリック)10:00〜17:00
(ショップ)10:00〜17:00
【定休日】年末年始
【料金】(常設展示室の入場料)大人200円、中学生以下無料
【HP】http://handa-akarenga.jp/

PROFILE

遼河はるひ 遼河はるひ
愛知県名古屋市出身。元宝塚歌劇団・月組男役スター。高校生の時に初めて観た宝塚に魅せられ、1994年、宝塚史上もっとも倍率の高い年に宝塚音楽学校に入学。1996年、宝塚歌劇団入団。数々の舞台を経て、2009年退団。退団後は、女優・タレントとして活動。バラエティ番組にも多数出演し、活躍の幅を広げている。
舞台 『アニー』(2016年)
『エリザベート』(宝塚歌劇団2009年)
映画 『はなちゃんのみそ汁』(2015年)
ドラマ 『癒し屋キリコの約束』(2015年)
CM 『豆腐よーぐるとぱっく 玉の輿(盛田屋)』