• 2017年
    (平成29年)
    2月8日
    (水曜日)

    編集長が食い倒れる(!?)まで名古屋めしの名店をハシゴします!!

    久しぶりに食すひつまぶしに、至福の表情を浮かべる編集長。
    やっぱり、おいしいものって、幸せですよね。

    はたして、ひつまぶし登場。いや、初めて食べるわけではないけれど、この「蓬莱軒」のひつまぶしには、何か人を高揚させるムードがある。ご存知の通り、上面から潔くしゃもじで島津藩の紋所のように縦横十字で四等分して、最初の四分の一は茶碗によそってそのまま、二つ目はそれにネギや海苔など薬味を乗せて、次が出汁をかけてお茶漬けのようにし、最後はアンコールで好きな食べ方を、というのが定番の「作法」だ。備長炭で絶妙に焼き上げられたうなぎは皮がぱりりとして身はふっくら口で解ける素敵な感触、香り、旨味甘味も誠にありがたいバランス。関西では鰻のことを「まむし」と呼ぶが、「間蒸し」や「まぶし」からきているとの説あり。とにかくまぶしても乗せても美味いものは美味いなあ。

    松坂屋名古屋店本館にあるテイクアウトのコーナーでは、ひつまぶしの味をそのまま海苔の太巻きにしたものが買える。別売りの出汁をかけて、ひつまぶしを自宅で再現できるのは面白いアイデアではないか。

    腹が満ちたところで、コーヒーでも飲みましょうと担当の森山女史が薄笑いを浮かべるのでのこのことついていけば、愛知県人でない私もその名声は知っている老舗喫茶店「コンパル」大須本店だった。ここのアイスコーヒー、頼んでびっくり、濃いめに抽出したホットコーヒーと、氷だけが入ったグラス、そしてクリームが運ばれてきた。

    3膳目は出汁をかけて、お茶漬け風にしていただきます。出汁と薬味&ワサビで、さらさらといただけちゃいます!
    ひつまぶしをそのまま太巻きにした「うなぎまぶしのり巻き」。松坂屋名古屋店本館のテイクアウト専門店の限定品です。

    店員さんに言われる通りに濃いめのコーヒーを氷のグラスに注ぐと、氷がある程度溶けて濃度がちょうど良くなり、何かコーヒーらしい香しさを保ったまま冷たいコーヒーが飲める工夫であることに気づく。昨今、珈琲店に行くと当たり前のように出てくる小さなパックの俗にいう「コーヒーフレッシュ」と呼ばれるフェイク乳(水と植物油とカラメル色素、増粘多糖類、ph調整剤、香料を混ぜ乳化剤などでクリーム風にしたクリームもどき。何がフレッシュなんだか)がついてくることが多くなったが、ここのクリームは生クリームのようだ。こういう古い喫茶店のいいところだと思う。本当、いっぱしのフレンチやイタリアンを気取っている店でも、最近はあのカプセルのような「フレッシュ」が出てくると、途端に「その程度なのか」と白けてしまう。これはぐちです。横道です。

    実は、この店の名物が、いわゆる名古屋めしとしても名を馳せているという。「海老フライサンド」のことだ。エビフライ3本とフンワリとした卵焼き、千切りのキャベツなどをサンドイッチにしてあるのだ。いや、別にそんな風にしなくてもいいでしょう、という思いをぐっとこらえて大口を開けてかぶりつけば、想像以上の美味さに驚いた。かつソースとタルタルソースのダブルでの味付けが、程よい酸味と甘味をいいバランスで表現している。そこへぷりぷりの海老の食感に懐かしい卵焼きの風味、よく出来ている!ちょっと食べにくいことはご愛嬌、これはリピートしたくなった。

    こぼさないように注ぐのが、意外と難しいコンパルのアイスコーヒー。って、編集長、さすがですね!
    地元の人にも愛される「エビフライサンド」。できたて熱々を、大きな口でかぶりつくのが、またうまいんです!
  • 2017年
    (平成29年)
    2月8日
    (水曜日)

    湯気の向こうに見えるのは、辛さに耐える涙かそれとも……。
    激辛な一杯で、最後を締めくくります。

    さて、名古屋めしでも絶対に無視できないのが、手羽先の唐揚げだろう。数多くある手羽先の店で有名なのは「風来坊」と「世界の山ちゃん」だが、地元の人は見ただけでどちらの店のものかがわかるらしい。「山ちゃん」が元祖と勘違いしている人は多いようだが、そちらの創業者は生前(昨年急逝された)、「元祖は風来坊さんで、私は真似をしただけです」と語っていた。

    手羽先の味は甘口、普通、スパイシーの三段階なのだが、それは単に裏側にまぶされた胡椒の多さなので難しく考える必要はなかった。甘口を頼んで、辛口の好きな人はテーブルにある胡椒をつけて食べればいいのだ。

    そして、名古屋めしの「締め」に入ろう。「締めはラーメン」という陳腐な発想は私にはないが、酔うとその発想が湧くのは別人格だ。読み方は違うけれど、大阪にも同じ名前の店があって、深夜まで飲むとついそこへ行って辛いラーメンを食べてしまうのだが、そのおそらく元祖の店が名古屋にある。「味仙」今池本店の台湾ラーメンは、唐辛子辛い豚のひき肉とニラなどを炒めたものが乗った、激辛ラーメンだ。最近、そのさらに辛口ができて、イタリアン、メキシカンと呼ばれている。イタリアは真っ赤だからか、エスプレッソをイメージしたのか。メキシカンはハラペーニョの連想か。ちなみに、辛さ控えめは「アメリカン」だそうだ。やはりコーヒーの濃度からきている様だ。メキシカンは違うのだろうけれど。


    甘口(タレのみ)、ノーマル、スパイシーの3種類を食べ比べる編集長。ビールには、スパイシーがよく合うんです!
    実は、編集長が右手に持つ「ターザン焼き」こそが、手羽先の元祖なんです。名古屋に来た際には、ぜひご賞味あれ!

    とにかく、ラーメンだからすすりたいのは山々なのだが、気管支に辛い湯気が飛び込んで来て、大いにむせる。とにかく辛くて仕方がない。1日に来店する600人全員がこの台湾ラーメンを食べるわけではないだろうが、中京地区における激辛文化の中心的存在だろう。店頭で売られているこの辛口のひき肉は、インスタントラーメンに少量乗せるだけで値打ち物に大変身、あっという間に二瓶を使い切ってしまった。

    さて、辛口のラーメンをすすってむせながら、お別れを惜しむ涙をごまかしつつ、「中日深聞」一巻の終わりなのでした。みなさま、1年間の愛読ありがとうございます。名古屋にはもっともっと足しげく通いたいと感じた連載でした。

    では、ご無礼します、ほいじゃあね(これは名古屋弁か?)。

    もちろん味仙でも食べ比べていただきます! 台湾ラーメンの「アメリカン(辛さ控えめ)」「ノーマル」「イタリアン(辛め)」。
    辛さ控えめっていったって、そこそこに辛い「アメリカン」を苦もなく食べ進める編集長ですが……。
    「ノーマル」のスープをすすってしまい、思わずこの表情!?って、中日深聞読者との別れを惜しんでくれたのですよね。まぁ、いつでも名古屋に遊びに来やいーがね。待っとるでね、編集長!!
    松尾貴史
    編集長松尾貴史

    1960年5月11日生まれ。兵庫県神戸市出身。大阪芸術大学芸術学部デザイン学科卒業。俳優、タレント、ナレーター、コラムニスト、"折り顔"作家、カレー店「般°若」店主など幅広い分野で活躍。
    著書にPHP新書「なぜ宇宙人は地球に来ない? 笑う超常現象入門」等多数。