• 2016年
    (平成28年)
    09月14日
    (水曜日)

    名古屋から車で走ること約60分。岐阜県関市を深く聞き込みます!

    取材当日は天気にも恵まれ、上機嫌の編集長。さぁ、大人の遠足がスタートです。
     今回の「中日深聞」は、名古屋を離れて岐阜県は関市へ。一刀彫の仏像を数多残した円空所縁の地だ。この地には、実は隠れた名所がそこかしこにある。いや、隠れても隠されてもいないのだが、程よい知名度なので観光地特有の混雑によるストレスがない絶妙のエリアなのだ。
     地元に詳しい方にご案内頂こうということになり、ご当地の、全国でも有数の蕎麦の名店「助六」の主、小林明さんにご無理をお願いした。小林旭ではない。
     道の駅で待ち合わせをして、「まずはどこから……」と私が聞こうと思った瞬間に、「モネの池へ行きましょうか、まだ時間が早いからそれほど混んでないでしょう」ということになった。モネの池!最近テレビ番組で見たばかりだ。印象派の開祖、クロード・モネの名作「睡蓮」を思わせる池になぜか全国どころか海外からも観光客が押し寄せているという。早速ご案内いただくことにした。
    「モネの池」などという名前ではないのだが、離れた道端にも「モネの池まで8キロ」などと看板が出ている。
     はたして、根道神社という慎ましやかな神社の鳥居の脇あたり、テニスコート一面ほど(適当な目分量)の広さの池に、睡蓮の葉が広がっている。水面が空からの光を反射しない角度から見ると、なるほど浅い水底までの透明度で奥行きがあり、モネの絵を思わせる静かで和む絵が眼前に広がる。これを写真に撮って少々色味を調整すると、癒しの芸術品に早変わりするから驚きなのだ。そう、肉眼で見るよりも写真に撮ってみるとまた意外な雰囲気が出て面白い。
    平日の朝からこの人出。午後にかけては、観光バスなどが続々とやってきて、山間の小さな村が人で溢れかえります。
    実は、みすぼらしかった池を当地の方が掃除して睡蓮を植え錦鯉を放ったら、いつの間にか話題になってマスコミも取り上げるようになったとかで、町おこしや観光資源を期待してのことだったわけではないらしい。まさに無欲の勝利ということだろうか。
     最近にわかに脚光を浴び、近所の飲食店にはあやかったメニューまで登場しているらしい。店先には「モーネング・サービス」という幟まで立っている。モーネング。なんだこのネーミング。微笑ましいではないか。
    観光客が押し寄せる「モネの池」。人の間を縫って、必死に写真撮影をする編集長。いい写真、撮れましたか? ほんの少しだけ色をいじるだけで、この出来映え! 印象派の一枚が完成です。 移動中の車の中からこののぼりを発見したときの編集長の反応も、とても微笑ましかったですよ。
  • 2016年
    (平成28年)
    09月14日
    (水曜日)

    美濃和紙に小瀬の鵜飼……
    関市には、日本伝統の技がたくさん!
    今回もやらせていただきます! 編集長のスポットジェスチャー。美濃和紙の里会館だから、ね。「ワシ、ワシ!」  関の中心部に向かう途中、「美濃和紙の里会館」という施設がある。世界文化遺産にもなった和紙の代表的な存在、美濃和紙の工程や歴史、さらには紙全体の文化を楽しめる名所で、20年近く前に私はここで「折り顔展」を催し、折り紙のワークショップを開いたことがある。近くの寺の尼さんが参加して、七福神を折りたいとおっしゃるのに無理やりウルトラマンを折らせて残念がらせたことは秘密だ(折り顔展については http://www.origao.jp を参照してください)。 さて、この地の名物の筆頭に挙げられるべきは、何と言っても鵜飼ではないか。関市を流れる長良川で、なんと1300年も続いている伝統漁法だ。「鵜の家足立」18代目の足立陽一郎さんに鵜を買っている庭先の縁側で、時間の無い中(この日は台湾からの団体予約が急に入ったとかで大わらわだそう)お話を伺えた。烏帽子型に巻いた麻の頭巾が鯔背である。いや鮎背か。
    話している間も、足元には主役の鵜が二十数羽「ぐえ」「ぐえ」言っている。鵜飼は天候不全や月齢で休むこともあるが、コンスタントに行われている。また、年に8回御料鵜飼が普段は禁漁の御料場で行われ、その時の鮎は皇居に送られるそうだ。近年、年によっての増減はあれど、全体的には格段に鮎が減っているという。国策で植林された森林の管理が不備で川に砂が増えてしまい鮎が生きにくいと嘆いておられる。
     各地に鵜飼を見られるところは数あれど、こちら関市は小瀬の鵜飼の見所は、すこぶるプリミティヴな漁が見られることである。他では鵜匠の乗る船にモーターが使われていることがあるが、当地では昔ながらの手漕ぎで行っているのだ。漆黒の闇に舳先の松明とそこから散る火花のみの光で幻想的な世界を堪能できる。もちろん、音は船をこぐ音、鮎を集め鵜を操るために船縁を叩く音、観客のどよめきと拍手などだけで、無粋な機械音は聴こえないし、燃料油の臭いも無い。鵜飼が始まる直前まで点いている観光客の屋形船の提灯も、電球ではなくろうそくの柔らかな光だ。この漁は真っ暗になってから始まるので、それを待つ間に船に揺られ川風に吹かれつつ、弁当など料理を楽しみ、うまい地酒を飲んで期待感を高める。川の水の早さによって20分ほど楽しめたり5分ほどであったりと漁の時間は変わるが、10月半ばの最終日までに、ご都合の許す方は是非、小瀬の鵜飼を体験していただきたい。
     関のリポートは、次回も続くのだった。
    紙漉きの疑似体験! ……って「調整中」の文字が見えてますよ、編集長。 で、編集長をアートに撮影してみました(って、偶然撮影できただけ、なんですが……)。 無料体験コーナーの折り紙体験に参加。さすが折り顔作家、事もなく折り進めます(って、途中で飽きちゃったことは内緒です)
    500年以上続く「鵜の家 足立」へ。樹齢500年を越えるドウダンツツジ、杉苔の絨毯など、立派な庭がお出迎え。 縁側でいろいろな話を聞いている間も、足元では鵜たちが「ぐぇぐぇ」と鳴く。 関市リポートの前半は、この写真で閉めさせていただきます。ふすまの引き手に彫られた鵜を見て「ウッ!」。これまたお粗末様!!
    松尾貴史
    編集長松尾貴史
    1960年5月11日生まれ。兵庫県神戸市出身。大阪芸術大学芸術学部デザイン学科卒業。俳優、タレント、ナレーター、コラムニスト、"折り顔"作家、カレー店「般°若」店主など幅広い分野で活躍。
    著書にPHP新書「なぜ宇宙人は地球に来ない? 笑う超常現象入門」等多数。
    舞台Dステ19th「お気に召すまま」に出演。(10月14日〜30日@東京・本多劇場、11月12日〜13日@山形・シベールアリーナ、11月19日〜20日@兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール)
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