今回は酒井さん
酒井 順子(さかい・じゅんこ) 
酒井さん
エッセイスト。オリーブ少女時代、原宿にはよくいきました(笑)。
蘇るファッション

 読書の秋、という言葉を聞くことは少なくなってきましたが、寒くなるとおしゃれ心が刺激される、という人は多いものです。中高年になると、自らの来し方を振り返りたくなってくるものですが、それはファッション面でも同じこと。<1>渡辺明日香『東京ファッションクロニクル』(青幻舎・3,024円)は、1950年代から現在まで、戦後の東京のストリートファッションを振り返る、という書。

 洋装文化がどっと入ってきた50年代、ミニスカート、アイビー、みゆき族の60年代…といったところは、「へー」という感じですが、70年代後半からの、竹の子族等の出現くらいからは、私も「知ってる!」と、嬉(うれ)しくも恥ずかしい気分に。街で撮ったたくさんのスナップ写真とともに紹介されるストリートファッションの歴史を眺めることは、自分自身のファッションの歴史を振り返る作業にもなります。そして現在は「新しいファッションが登場しない」という新しい時代に突入、という指摘に、移りゆく世を感じるのです。

 そこには70年代から原宿がファッションの発信基地になってきたことも記されていますが、70年代の原宿を起点として東京のファッションとカルチャーを振り返るのが<2>『WHAT'S NEXT? TOKYO CULTURE STORY』(マガジンハウスムック・1,650円)。


とカルチャーを振り返るのが<2>『WHAT'S NEXT? TOKYO CULTURE STORY』(マガジンハウスムック・1,650円)。

 何もない場所だった、原宿。しかしセントラル・アパート、カフェの「レオン」といった核となる施設があったことによって、やがてファッション関係者等が集まる地となっていきます。今では全国に存在するBEAMSが原宿に産声をあげたのは1976年。そして雑誌「POPEYE」の創刊も76年。この年は日本のカジュアルファッション元年だったのかもしれません。

 黎明(れいめい)期の原宿の姿を私は知りませんが、それを今に蘇(よみがえ)らせるのが<3>中村のん編『70'HARAJUKU』(小学館・1,296円)。神宮前交差点には横断歩道がなく、人通りも少ない当時の表参道。「レオン」に集まっていた、モデル、スタイリスト、ミュージシャン…といった、格好いい人達。そんな"格好いい人達"の仲間うちであったであろうフォトグラファー達によって撮られたモノクロ写真の数々は、自分達の手でファッションという世界を拓(ひら)いていこうとする若者達の勢いに溢(あふ)れているのです。

東京ファッションクロニクル
『東京ファッションクロニクル』
渡辺明日香
(青幻舎・3,024円)
WHAT'S NEXT? TOKYO CULTURE STORY
『WHAT'S NEXT? TOKYO CULTURE STORY』
(マガジンハウスムック・1,650円)
70'HARAJUKU
『70'HARAJUKU』
中村のん
(小学館・1,296円)